いろいろなものの物価が上がっているので少しでも家計の出費を減らしたいと思っている人は多いのではないでしょうか?節約できる出費はいろいろありますが、その一つは固定電話の料金です。実は固定電話の通話料は工夫しだいで安く抑えることができるんです。
この記事では電話代金を安くする方法の一つである「マイライン」サービスについてご紹介したいと思います。
1.マイラインってどんなサービスなの?
「マイライン」とはNTT東日本と西日本の固定電話を使っているユーザーが、事業者識別番号なしで各電話会社を利用できるサービスです。事業者識別番号とは各通信事業者に割り当てられた番号で、他の事業者と見分けるために発行されました。
実は昔の日本では電電公社(現NTT)しか電話会社がありませんでしたが、民営化後は多くの通信業者が電話事業に参加するようになりました。ただ新規事業者は電話局から契約者の家まではNTTの回線を使うため、電話をかける時には事業者識別番号をつけてから電話する必要がありました。
例えばKDDIを使って東京から大阪に電話する場合は以下のようにダイヤルしなければなりませんでした。
0077(KDDIの識別番号)-06(大阪)-〇〇〇-〇〇〇〇
とても長い番号になりますよね。これだと面倒で最初の0077をつけたがらない人も多いのではないでしょうか?番号を押すので面倒でそのまま識別番号をつけずに電話したくなるかもしれません。でもそうなるとNTT東西かNTTコミュニケーションズを使うことになってしまいます。そこで登場したのがマイラインです。マイラインを使うと識別番号を省略できるので以下のようにかければOKです。
06(大阪)-〇〇〇-〇〇〇〇
シンプルになりましたよね。このようにマイラインを使うことでNTT以外の通信事業者も気軽に利用できます。
マイライン参加業者と事業者識別番号
2019年6月時点でのマイラインの参加事業者と事業者識別番号は以下の通りです。
電話会社名称 | 事業者識別番号 | 通話区分 | 登録可能地域 |
---|---|---|---|
NTTコミュニケーションズ(株) | 0033 | 市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
日本全国 |
KDDI (株) | 0077 001(国際通話) |
市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
日本全国 |
ソフトバンク(株) | 0088 0061(国際通話) |
市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
日本全国 |
ソフトバンク(株) | 0041 | 国際通話 | 日本全国 |
ソフトバンク(株) | 0041 | 国際通話 | 日本全国 |
ソフトバンク(株) ※新規受付停止中 |
0083 | 市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
日本全国 |
楽天コミュニケーションズ(株) | 0038 | 市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
日本全国 |
楽天コミュニケーションズ(株) ※新規受付停止中 |
0081 0082(国際通話) |
市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
関東 |
アルテリア・ネットワークス(株) | 0060 | 市内通話 同一県内の市外通話 県外への通話 国際通話 |
全国18都道府県 |
東日本電信電話(株) 《NTT東日本》 |
0036 | 市内通話 同一県内の市外通話 |
東日本 |
西日本電信電話(株) 《NTT西日本》 |
0039 | 市内通話 同一県内の市外通話 |
西日本 |
(「マイライン事業者協議会」データ参照)
このようにたくさんの識別番号があるのでいちいち覚えてられません。でもマイラインであらかじめ登録しておけば番号をプッシュないしダイヤルする必要がないので楽に他の電話事業者を利用できます。
でも「そもそもなぜNTT以外の電話事業者のサービスを利用する必要があるんだろう?」と思う人も多いのではないでしょうか?実はそれには費用面でのメリットがあるからなんです。
2.マイラインを固定電話で使うとどれくらいお得?
マイラインを使ってNTTとNTT以外の電話事業者の両方を利用すると費用面でお得になります。マイラインサービスでは通話区分を以下の4つに分けて、各区分ごとに事業者を登録できます。
- 市内
- 県内市外
- 県外
- 国際
では平日昼間に電話した場合の各電話会社の国内通話料金を比較してみましょう(税別料金)。
通話区分 | NTT「イチリッツ1」適用時 | NTTコミュニケーションズプラチナ・ライン&世界割適用時 | KDDIauまとめライン適用時 | ソフトバンク「テレコムスーパーパック」最大割引適用時 | アルテリア | 楽天コミュニケーションズ「ウェルカムパック」適用時 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
市内 | 8.5円 | 11.25円 | 8円 | 8.5円 | 12円(2分以内の通話は6円) | 8.4円 | |
県内市外 | 隣接~20km | 8.5円 | 11.25円 | 8円 | 10円 | 12円 | 10円 |
~30km | 8.5円 | 11.25円 | 8円 | 15円 | 18円 | 10円 | |
~60km | 8.5円 | 11.25円 | 8円 | 15円 | 18円 | 10円 | |
~100km | 8.5円 | 11.25円 | 8円 | 20円 | 24円 | 10円 | |
100km超 | 8.5円 | 11.25円 | 8円 | 20円 | 24円 | 10円 | |
県外 | 隣接~20km | 県外はNTT東西以外の事業者が担当 | 21.75円 | 15円 | 10円 | 12円 | 20円 |
~30km | 21.75円 | 15円 | 15円 | 18円 | 20円 | ||
~60km | 21.75円 | 15円 | 20円 | 24円 | 20円 | ||
~100km | 21.75円 | 15円 | 30円 | 36円 | 20円 | ||
~100km | 21.75円 | 15円 | 30円 | 36円 | 20円 | ||
~170km | 21.75円 | 15円 | 40円 | 48円 | 20円 | ||
170km超 | 21.75円 | 15円 | 40円 | 48円 | 20円 |
各社のマイラインサービスでは様々な割引料金が提供されています。上の表ではその割引を適用させた状態での比較をしていますが、県内県外ともに事業者によって料金が違うのが分かりますね。このように一つの電話事業者だけでなく通話区分によって複数の事業者を組み合わせることで電話料金を節約できます。
ちなみに電話機によってはACR(LCR)という「自動的に電話会社を選択する」機能がついています。この機能を使っている場合はマイライン登録した電話会社よりもACRで選択した会社が優先されます。でも後述する「マイラインプラス」というサービスではACRよりもマイラインプラスで登録した会社が優先されます。
マイラインとマイラインプラス
マイラインサービスには実は2つのタイプがあります。マイラインとマイラインプラスの2つです。マイラインはすでに説明した通りの内容ですが、マイラインプラスはいつも同じ電話会社を利用したい場合に便利なサービスです。このサービスに登録すると、仮に事業者識別番号をダイヤルしても登録された会社のみを利用することになります。
また先述のようにACR機能がある電話機を使う場合は、ACRが自動選択した会社と登録した会社のどちらを優先するかがマイラインかマイラインプラスかによって変わります。
なお両者に共通しているのは、どちらのプランも電話番号ごとに登録料が税別800円かかること、そして利用料金は無料ということです。
3.まとめ
NTT東西の固定電話を利用している人にとって、通話区分ごとに別々の電話会社を利用すると電話料金を節約できます。でも様々な電話会社を利用するには事業者識別番号をいちいち押さなければいけないという手間がありましたが、マイラインによってそれが解消されてかなり便利になりました。
登録時だけ少し面倒に思うかもしれませんが、一度登録しておけば後は識別番号を押す必要がないので、簡単に電話料金を節約できます。